後にロマコメの女王といわれるノーラ・エフロンの自伝的作品。ジャック・ニコルソンのモデルはカール・バーンスタイン。あの『大統領の陰謀』のウッドワードの相棒バーンスタイン。彼はホフマンとニコルソンという名優二人に自らを演じてもらったことになる。それぞれ光と闇を。
マークはワシントンの記者で政治コラムニスト、レイチェルはNYで料理評論家兼ライターをしている。お互いバツイチ同士だが出会いはマークの一目惚れ。
初デートで路チューからのベッドイン。夜中の4時にパスタを茹でる女。
これ旨いよー 週に1回作ってくれ
とんとん拍子で結婚まで進むが、当日になり控室から出てこなかったレイチェル。彼女の直感は再婚に反対していた。
ここ、躊躇していた時点でやめるべきだったよ。
マークは夜中に突然歌いだす。ああいう男はつき合ってる時は楽しいが、大抵ナルシスト入ってるし問題から逃げがちだ。だがこの作品の特色として、浮気に走るマークの具体的なところは一切描かれない。ただカードの領収書が出てきてつめられるとか、困った顔をするぐらい。
全てレイチェルの心象に起こったことがテーマ。それゆえ、ちょっと役者に頼りすぎに見えてしまう作品。
ニコルソンはいかにも女好きで男性ホルモン出まくっている男だが、それって素では?
映画に不要な味付けがほとんどない。劇伴もなし、ストリープの演技だけで引っぱっていく。
一度は寄りを戻したが、第二子が産まれたあとでもマークの浮気癖は治らなかったようだ。
宝石屋が思わず口を滑らす。そうそうあのネックレスはいかがですか。は?ネックレス・・・
ついに彼女の堪忍袋も切れた、プチン そこからの行動が
友人のパーティーの手土産に朝からパイを仕込んでマークと出かける。いつもの友人たちの会話をなんとはなしに聞きながら、、
そしておもむろにパイを冷蔵庫から取り出しー、会話を自分に引き寄せてーのー
ハイここという所でっ あんなに至近距離でっ!
あれ最初から計画的にやったというよりも、途中でだんだん腹立ってきてやってしまったんだろうな。一応パイはちゃんと作ってたからねw
レイチェルの友人で根っからゴシップ好きのいつも自分が主役だと思っているあの彼女はキャサリン・オハラ。『ホーム・アローン』のママ。
その旦那に映画監督ミロス・フォアマン
レイチェルに密かに心を寄せるリチャードにジェフ・ダニエルズ。好きだって言っちゃえよー
ケヴィン・スペイシーが地下鉄の強盗役でチョイ出演。
思うにトレンディドラマっつうのは好景気の時代の産物だ。大体において高給取りでキラキラした男女が庶民の生活とはかけ離れたところでよろしくやってる話を楽しんで観てられるのは平均的にそれなりに豊かだからだ。
D.C.やNYで裕福な暮らしをしているのは一握りのエリート。レイチェルの周りも新聞社のコラムニストに弁護士、芸能レポーター、外交官といわばエリートサークルだ。彼らには高い家賃と別に家政婦やシッターを常時雇い入れられるだけの収入がある。しょせん絵空事。逆に言うといい時代だった。
最後に、おそらく観客みんなが思っただろうが破局の原因はたぶんあの家だ。いつまでたっても手入れが終わらない沼のような家。あれ見て、まだ引越しのダンボールが片づいていないっていうカップルは要注意。それ風水的にも良くないですよー
それにしてもマイク・ニコルズはいつも最後にとんでもない爆発力をみせる。油断ならん監督だ。
⇒Carly Simon - Coming Around Again
⇒パイ投げ映画ベスト級