ふしみあい

惑星ソラリスのふしみあいのレビュー・感想・評価

惑星ソラリス(1972年製作の映画)
4.8
眠くなる映画NO.1!!!
この眠気に勝てなかったのは私だけじゃなかったんですね…よかった

72年、ソ連製作の映画。
冒頭の水草が水面下で漂うシーンが綺麗すぎてこれは良作の予感がする、と引き込まれたのもつかの間、50分ぐらいで強烈な眠気。

第一部の地球でのシーンは惑星ソラリスがどんなところで、これからどうするのかを説明するのに使われる。長尺!そして映像化が難しかったのか、セリフのみで説明するため、後半に出てくるソラリスがおもてたんと違う、っていう同映画内で解釈違いみたいなのが起こって新鮮だった。

第二部からは惑星ソラリスの海と宇宙ステーションのみのシーンが続く。ここでも予算が足りなかったのか、ワンシチュエーションもので、派手な爆発もエイリアンも銀河の星々も観れないけど、不思議な引力でもって画面に惹きつけられる。

宇宙ステーションのセットがすごくよかった。本編全てに言えることだけど映像や美術が美しい。
監督は水を撮るのに非常にこだわっていたらしいけど、青がものすごく印象的だった。
随所に出てくる青い小物、青い衣装、モノクロフィルムでも青いフィルターをかけ、枕まで青。青と白と黄色で構成された画面に釘付けだった。

最初の水面のシーンから、雨が降り、そしてソラリスの海、ロケットの水蒸気、液体窒素、母親が腕を洗う水桶、天井のお湯、様々な水、液体が鍵となっている気がする。

映画自体はすごく難解で、BGMも一つしかないし、意味があるようでないような会話劇ばかりなのでもう眠気MAX、寝落ち必須なんだけど、でも観たい、という欲が出てくる初めてのタイプの映画だった。

惑星ソラリス自体が思考を持っているという設定で、単調な波がどこまでも続くソラリスは雄大で美しくもあり、畏怖の念を抱かせもする。
その一方で人間の思考に作用し、徐々に人間側がおかしくなっていく様子を見て、私たちがソラリスにX線を当て観測しているのと同じように、ソラリスもまた、人間を観察し、実験しているのかなと思った。

最後のシーンは鳥肌がたった。
観た人の数だけ解釈や考察がある映画だと思う。
2001年とは規模も話も全く違うけれど、なんとなく似ているところもあった気がする。

やっぱ理解しづらくても、芸術的な映画が好きだなあ。