ひゅうどんこ

西鶴一代女のひゅうどんこのレビュー・感想・評価

西鶴一代女(1952年製作の映画)
4.0
 薄幸な女、、などと申しますが、主人公のお春に訪れる幸福な時間は、彼女の生涯に於いてペラッペラに薄い逢瀬とまぐわいの一時だけでして、溝口監督的名物カメラ長回しとは対称的に非常に短く、哀れです。

 女性総合職の上がりから→客もつかない立ちんぼにならざるを得なかったお話は、依田義賢にて脚本書いてまして、本作成功要因の中でも大きいでしょう。

 海外から帰国した時のKYな姿に対し「明眸老いたり」とバッシングを浴び低迷していたかつての名女優。
 10年以上も浮上出来ずに底なしスランプ沼で溺れかけていたかつての巨匠監督。
本作はこの巨人二人を再び陽の当たる場所へ引き上げることに見事成功しましたよね。

 あとは個人的に注目した点として、、、
◎“お腹さま”という、完全にまぐわいヤーとしかみてない呼称を与える無神経さに唖然。
◎おっ、加東大介と沢村貞子が姉弟出演してます。
◎活動写真時代からならした名バイプレイヤー、菅井一郎扮するお春の父親新左衛門の屑っぷりもポイント高いッス。