おらんだ

アヒルと鴨のコインロッカーのおらんだのレビュー・感想・評価

4.1
進学の為、仙台に越してきた大学生・椎名。引っ越し中にボブ・ディランの「風に吹かれて」の口笛を吹いていると、隣に住む妙な男・川崎に声をかけられる。川崎は初対面の椎名に、同じアパートのブータン人に広辞苑を送る為、本屋を襲撃する計画を持ちかける。

現在の本屋襲撃と二年前の事件。二つの話が一つになった時、最高に切なく、優しいエンディングへと繋がる。

原作未読。前情報一切無し。最初は少しコミカルなミステリー風という印象。しかし、後半へ来てその印象は一変する。

正直、観ていて辛いシーンが多い。ただ単に暴力的でとか、悲しくてというだけでなくて、喪失感を伴う。だからこそ、救いのあるシーンが際立つのだけれど、何とも言えない虚しさが残る。

一点気になったのは琴美(関めぐみ)の無鉄砲さ。もう少し慎重に考えて行動したらこんな話は生まれなかった。

単なるミステリーではなく、最後に少し優しさを感じる。タイトルの意味も全て観てやっと理解できる。何より、こんな二つの時間軸の話が複雑に絡んだストーリーを違和感なく映像化できたのは凄いと思う。
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