グリフィン

チャップリンの殺人狂時代のグリフィンのレビュー・感想・評価

チャップリンの殺人狂時代(1947年製作の映画)
4.0
初見。字幕。
ユーモアとヒューマニズムを追求してきたチャップリンが行きついた先は、なんと殺人犯を描く映画だった。

大恐慌により職を失った男。彼は妻子との生活を守るために、富裕層の女性を騙し金を奪って殺す連続殺人犯となった。

時代の先を行く映画だと強く感じる。
戦争による大量殺人を皮肉る作品は今作に限らず、今だったらたくさんある。

でも時代が違う。第二次世界大戦が終わった直後で、連合国側のアメリカなら大戦を否定的に捉える人はおそらく少なかった。

そんな時代にこれを制作できることが凄い。
反戦運動が高まった時代になってようやく再評価されたとのことらしい。
戦争真っ只中にヒトラーをこき下ろす、「独裁者」を制作できるほどの人ですからね、チャップリンは。先を読む力と度胸が凄いよホントに。


良き夫であり良き父親でもある主人公、でもお金がない。そんな彼にとっては殺しは生きる手段でありビジネスだった。
なんて残酷な考えなのか。ただ最終的に彼は言う。
「殺しも戦争も同じビジネスだ」
思わず反論するのをためらってしまう、そんなセリフだ。表向きには言わなくても戦争はお金を生み出す機会でもあることは、みんな薄々わかってる。なんとも痛いところつくメッセージだ。

ただこの映画には希望もあるような気がするんです。
似た境遇だからなのか、あの女性だけは殺さなかった。親切が行動を変え、後に女性は彼に親切を返してあげた。
強烈な皮肉の世界に、わずかながらポジティブなヒントを含ませた。そんな気がしましたね。

あと、こんなとこ言っちゃ良くないかもだけど・・・
ヒステリックにしぶとく生き残るマダム、悪人ではないはずなのにスゲー腹立つババアだなww ボートの場面はちょっとチャップリンに同情した😅 言葉遣いが嫌味よなあ~この人
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