あなぐらむ

不良少女 魔子のあなぐらむのレビュー・感想・評価

不良少女 魔子(1971年製作の映画)
2.2
1971年、日活一般番線本当の最終作(並映は『八月の濡れた砂』/藤田敏八)で、製作現場の混迷の為もあってか、作品には投げやりなムードも漂う。
長谷部安春脚本(藤井鷹史名義)は「野良猫ロック マシン・アニマル」の亜流で、魔子と兄・藤竜也の関係等に作風が見られる。

とにかく夏純子が輝くばかりに美しい(ラブシーン有)以外には見るべき所も無い青春暴走裏切り物語だが、山崎善弘撮影が画でもたせている所もあって不良少女達のファッション、渋谷を大胆に使ったロケなど、映画としてのルックは悪くは無い。今見ると新鮮だと思う。

この頃の日活不良ものの女優は単体で持つ子が少なく、相川圭子はロマンポルノへ、太田美鈴は東映のずべ公番長等に流れて行く。
宍戸錠が蔵原監督デビュー作という事でご祝儀出演、岡崎二朗、藤竜也は相変わらず好演で、小野寺昭が珍しい悪党を演じて新鮮。

蔵原監督はこの後もアクション系の映画を撮ってロマンポルノにも移行するが「黒い女豹 M」も含め、正直冗長な演出をする人で、そこが同期の長谷部さんとの差だったのではないか。ドキュメンタリーへと転身したのは賢かったのかも。

五月由美時代の片桐夕子がクレジットではあるがどこに出てるか分からん。カツアゲされる女子高生か。
清宮達夫は後の変身忍者嵐。清水国雄さんの姿も。