TakaCine

映画に愛をこめて アメリカの夜のTakaCineのレビュー・感想・評価

4.8
【どこまでも深い映画愛🎥】
今年最後のレビューは、深い映画愛に溢れた本作を取り上げます。

名匠トリュフォー監督が描く―トラブル続きでも決して諦めない―映画の魔力に取り憑かれた映画人の"映画に捧げた"人生模様。これぞ、紛うことなき映画讃歌💐

アカデミー外国語映画賞受賞。

映画制作あるある(暴露物)としても面白いけど、トリュフォー監督のどこまでも深い映画愛に脱帽してしまいました😍

冒頭の献辞が「この映画をリリアン&ドロシー・ギッシュに捧ぐ」とあるように、アメリカ映画に対して敬意を表しています(映像はグリフィスの『見えざる敵』)。

【Day for Night】
題名の『アメリカの夜(フランス語タイトルの和訳)』は、カメラのレンズに特殊フィルターをかけて夜の場面を昼間に撮る「擬似夜景」のことを指します。ハリウッドから広まった撮影スタイルで"Day for Night"と呼ばれています。つまり映画はフェイク(偽物)でいっぱいです。

石鹸か洗剤の泡で雪を再現したり、梯子に昇ってバルコニー撮影をしたり、窓に落ちる雨をスプリンクラーで再現したり、昨日受けた相談内容をそのまま台詞に入れたり…撮影の裏側まで覗けて楽しい😃🎶

トリュフォー監督自身が劇中のフェラン監督を演じているため、本当の映画『アメリカの夜』と劇中映画『パメラを紹介します※』が脳内で段々ブレンドされて、映画制作陣の虚実入りみだれ「疑似人生」の面白さも垣間見えます。
※この題名は、いかにもメロドラマっぽくて酷いと思う(笑)

本作インタビューの証言で確かめると、トリュフォー自身の性格や演出スタイルは、演じたフェラン監督に近いものがあるようです。完璧主義で細かくて的確、でも独善的でなく優しい。ジュリー(ジャクリーン・ビセット)の手の演技をつける場面は、彼の繊細さがよく出ていました。それから女優を綺麗に撮る監督さんでしたね。ジャンヌ・モローやイザベル・アジャーニとか。

トリュフォーの分身ジャン=ピエール・レオのわがままなガキっぽさは、まんまのイメージ(笑)

ヴァレンティナ・コルテーゼ扮する、台詞を忘れるベテラン女優の迫力と憐れさはちょっと忘れられません(『ブロードウェイと銃弾』のダイアン・ウィーストと双璧)!!

何と言っても、息を呑むジャクリーン・ビセットの美貌😍✨彼女の神々しい美貌を観られたら、おじさんはお腹いっぱいです。低予算で撮ったため、衣装が自前は驚きましたけど😨ホント!

数々の撮影トラブルにもめげず、撮影を最後までやり切る監督とスタッフの気概!!凄く尊敬します。

映画制作はたくさんの人々が携わるだけあって、本当に苦労苦労の連続なのですね😰…それなのにやめないのは、この映画を観た方なら感じると思いますが、そこに「感動」があるから。映画制作陣の「映画大好き」がよく伝わりました😄

フェラン監督が取り寄せた本は、ブニュエル、ベルイマン、ゴダール、ヒッチコック、ホークス…名監督の関連本ばかり。それから、オーソン・ウェルズのあの映画のスチール写真。嬉しくなります♪

トリュフォーの映画愛がぎっしり詰まった本作は、「映画が好きで良かった!映画がこの世界にあって良かった!」と思い出させるだけの至福な瞬間に溢れていました😆

【ご挨拶】
2017年もFilmarksのみなさんと共に、楽しく実りある映画体験が出来たことを心から感謝します😊!!

去年よりも多彩な作品を観ることが出来ましたし、フォロワーさん達のレビューのお陰で、映画の見識を深めることが出来ました。

今年は大変お世話になりました。
来年も引き続き、宜しくお願い致します。

では皆様、良いお年を🎍
TakaCine

TakaCine