マヒロ

イヤー・オブ・ザ・ドラゴンのマヒロのレビュー・感想・評価

4.0
チャイナタウンを牛耳るチャイニーズマフィアの若頭と、それを執念深く追う刑事のお話。

『ヒート』のような骨太ポリスアクションとチャイナタウンならではのオリエンタルな雰囲気が融合した不思議な味わいの映画で、敵も味方も無関係の人も死にまくりの血なまぐささと、妻と愛人の間を行ったり来たりするすけこまし野郎ミッキーロークの男臭さでムンムンの暑苦しさが魅力的。

一見マフィアが悪物でそれを追う刑事は正義…と思いがちなんだけど、刑事が事件に介入することによって本来全く関係のなかった人が騒動に巻き込まれたりして、一方でマフィアの若頭はマフィアなりにその世界の中だけで仕事をこなしているだけだったりするので、世間的なバランスを乱しているのはどちらか…といわれると実は刑事側の方のようにも見えるのが面白いところ。この微妙な関係性は『県警対組織暴力』でも同じように扱われていたもので、お国が違えど考えることは一緒なんだなと。

締めはなんとなくハッピーエンドっぽい雰囲気にはなっているんだけど、根本的な部分では何も解決していないような気がして、その演出のチグハグ感に若干ゾッとする。…が、その直後エンドロールで流れる変な中国歌謡でドッと脱力してしまい、なんだかどうでもよくなってしまった。こんな感じで、本編で引っかかるシーンもなんとなく力技でねじ伏せられて流されてるような気がしなくもないんだけど、その強引さもまた良いところなのかな、という感じです。

(2016.113)
マヒロ

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