『ありふれた愛に関する調査』『Zero Woman 警視庁０課』などの榎戸耕史監督による日本映画。キャストは古村比呂、KONTA、RIKACOなどなど
お互いに正確に難があり、センスも全く異なって息も合わないようなファーストインプレッション最悪な二人がお見合いの後に、どういう運命の悪戯かちょっとしたことが原因でお互いに絡むことになる。その結果ふたりはふたりぼっちの夜を過ごすことになるのだが…
監督は相米信二監督の助監督を何年も務めて今作がデビュー作の榎戸耕史さん。所々、相米監督リスペクトの絵的構図はあったものの、やはり映画そのものの抱えるインパクトとか映画的驚きというのはちょっとばかりこの作品では相米さんと比べると駄目だな～て感じてしまった。
レビューを見ていると、成瀬巳喜男さんが好きだったという情報があったんですけど、確かに序盤のお見合いシークエンスの所は、テーブル上での三人の会話劇をシンプルな繰り返しで表現している所が成瀬的かもしれない。
映画としての面白くなりそうなギミックとかは出してくるんだけど、そこから自分の望むような展開に発展することはなかった。コンビニ強盗の所とかもうちょっとやれば物語的にも面白くなったはずなんだけど残念。
一番面白かったのは、玉置浩二演じる嫌味なキャラが主催するパーティーから怒って出てきて、二人で交差点内で車を邪魔しながら口論している所。あそこが一番アクション的に盛り上がるんだけども、そこまででもなく。
主演のバービーボーイズさんのKONTAさんは、ちょっとばかりハスキーな声が鼻につく。それでも歌を歌う場面ではそれ相応に貫禄が出るのだからすごいことである。
二人の人間の嫌味な所が出るコミュニケーション。それこそ本音と建て前というものを弁えた序盤の二人のお見合いの会話劇は、先ほども言いましたけどやはり成瀬的な日本人の嫌味たらしさというのが醸し出されていて、そこは素直に良かったのかなと思いますよ。
そんな二人の関係性というのが徐々に表面的なものから崩れていって、ついに発展するというのはよく出来ていると思います。
一番映画的に相米さん的に感じたのは橋をKONTAさんが縁側に出た状態で落ちないように歩いている所かな？あそこのふたりの規則性の無い自由な動きというのは相米的であるんだけど、相米さんに全然及ばない。
その後のKONTAの家に入った後に二人で寝落ちするというあそこのカット、相米さんリスペクトかどうか知らないけどロングショットで撮っていたけど、絵的な面白さや含みというのが無い分ちょっと退屈してしまう。
ただ、二人がぼーっとしているだけを撮っているだけで、そこに痛切さとかを感じ取れればいいんですけど、なんか古村比呂だと感じ取ることができなかったな。
終盤の早朝の駅での絡み合いも規則性のない子供のような動きでよかった。それでも相米さんの二番煎じになっちゃうのかな。いずれにしても見れて良かったと思います。
あと一つ。古村比呂嫌い。
