滝和也

大列車作戦の滝和也のレビュー・感想・評価

大列車作戦(1964年製作の映画)
4.1
とっておきです!
戦争サスペンスアクション
の隠れた傑作!
ジョン・フランケンハイマー監督作品、バート・ランカスター主演、

「大列車作戦」

ナチスドイツ占領下のフランス。ノルマンディー上陸後、ナチスのバルドハイム大佐は大量の名作絵画をドイツへ列車で運ぼうとする。それを察知した連合軍はレジスタンスに妨害を依頼。鉄道管理局内のレジスタンスであるラビッシュ達は決死の作戦を展開する。

蒸気機関車の迫力あるダイナミズム、男達の国のプライドをかけた意地、大胆不敵な策謀が交錯し、見事な仕上がりを魅せてくれる。序盤で見せる操車場が連合軍により空爆されるシーンは並の迫力ではない。爆発の中、蒸気機関車が走り抜けるシーンは俯瞰で捉えられ凄まじい迫力。また空撮による連合軍機に機関車が銃撃されるシーンもスピード感と相まって素晴らしい仕上がり。中盤からの各駅員らとの協力によるトリックによる妨害。実際の蒸気機関車を使用した激突シーンの迫力。そしてラストに向かうレジスタンス達の死を賭した矜持の凄まじさに引き込まれて行く。

ナチスの非道ぶりもストレートに描かれており、恐怖感を煽る。レジスタンスは協力がバレれば全て銃殺…。兵士ではない故に全てが死につながる。だがフランス鉄道管理局の面々は覚悟の上に、サボタージュから始まり抵抗を辞めない。またこのサボタージュ場面ではコインや、パイプなどの小道具が上手く活かされており、大味なアクションに留まっていない。

バート・ランカスター演じる主人公ラビッシュは、名画よりも人命を重視しており、国の誇りよりも仲間を大事にしている点がまた皮肉であり、絵画の価値を誰よりも理解し欲するバルトハイム大佐とは好対照に描かれ、それもまた皮肉である。更にこの男たちの姿を醒めた第三者の目で俯瞰するのはフランスの大女優ジャンヌ・モロー。その存在がまたいい。

この原作はわずか3ページ程度の話であるが実話であり、冒頭の字幕にてそれを確認できる。これも驚愕である。

フィルマ内でもまだ見ている方も少なく、フランケンハイマーの職人としての腕が示されている初期の傑作なので是非とも見ていただきたい作品。ラストの寂寥感にも注目してほしい一品です(^^)
滝和也

滝和也