ひろ

人生、ここにあり!のひろのレビュー・感想・評価

人生、ここにあり!(2008年製作の映画)
4.0
ジュリオ・マンフレドニア監督、脚本によって製作された2008年のイタリア映画

この物語は、1980年代にイタリアで制定されたバザーリア法により、精神病院が廃止されたイタリアで起こった実話を元にしている。その真実の物語は、イタリアでロングラン大ヒットを記録した。イタリアでヒットしたからといって日本でヒットするわけではないが、人間が感動する理由なんて、国が違ったってそう違いはない。この映画に心動かされる人も少なくないだろう。

精神病患者にはできないこともあるが、他者より優れた能力もあったりする。レッテルを貼った人たちはそんなことは気にもかけない。しかし、主人公のネッロは、彼らの能力を個性として認める。彼は同情したから助けてやろうというスタンスでもなく、ただ、労働力として、普通の社会人として扱う。一見冷めた姿勢に感じるが、この接し方こそ、人間は対等であるべきという素晴らしい姿勢だと思う。

もちろん、個性にも大きな幅がある彼らの物語は一筋縄ではいかない。実話だから、全てが丸く収まるわけがない。それでも、人を人として認めようっていうイタリアの試みは素晴らしかったと思った。精神疾患があるから何をするか分からないと閉じ込め続ける日本という国と、精神疾患に可能性を見出したイタリア。どっちが正解かは知らないが、この映画を観たら考えるきっかけにはなるだろう。
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