エソラゴト

僕らのミライへ逆回転のエソラゴトのレビュー・感想・評価

僕らのミライへ逆回転(2008年製作の映画)
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「巻き戻してご返却ください!」

自分も学生の頃、町の小さなビデオレンタル店でバイトをしていた時があった。DVDに取って代わるちょっと前で、上記の文言は貸し出し時必ず連呼していた事を記憶。そのお店でクエンティン・タランティーノ監督の『レザボア・ドッグス』に出会えたのは古き良き思い出。(因みに今は「巻き戻し」ではなくて「早戻し」というらしい)




監督は『エターナル・サンシャイン』のミシェル・ゴンドリー。今作は彼の「映画」に対する敬意と感謝と愛情が目一杯詰め込まれた作品。

と同時に昨今映画界で蔓延する名作佳作の安易なリメイク製作への彼なりのカウンターパンチの意味合いも含まれているようにも見える。

リメイク製作の手法も彼のMV作品や映画過去作同様、アナログで手作り感満載。資金どころか時間もない為アイデア一発勝負。逆にそのチープさと再生時間の短さが受け店は大盛況。

しかしそれが話題になると当然ながらお上の登場(その配役も絶妙!)都市計画の為の立ち退き問題も絡んでレンタル店「Be Kind Rewind」は閉店寸前にまで追い込まれる。

しかし登場人物達の映画愛と地元愛が結実し奇跡が起こる終盤は正に感涙もの。映画が好きで良かったと素直に思える正に映画好きによる映画好きの為の映画。

同じ映画好きの為の映画、ウッディ・アレン監督作『カイロの紫のバラ』の主演女優ミア・ファローが今作に出演しているのも何だかとても嬉しくなった。