エソラゴト

少年と自転車のエソラゴトのレビュー・感想・評価

少年と自転車(2011年製作の映画)
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大人達のエゴによって翻弄される少年シリルは偶然出会った美容師のサマンサによって、閉ざした心を徐々に開き人として成長していく物語。

自分でもどうして良いのか判らない焦燥感や突発的衝動的な行動、承認欲求等幼少期特有の繊細な心の揺らぎをこの子役は物憂げな表情と素晴らしい演技で表現。

人としての成長も劇的に大きく変化するのではなく、ほんの少しづつちょっとづつ変わっていく様を淡々としながらも丁寧に描く演出には感服。

車中のシーンは閉ざされた狭い空間な為、より2人の距離感が縮まり自然と喜怒哀楽の感情表現も豊かになるのが印象的だった。

主人公シリル少年には常に苦難や試練がが降りかかるが、良き理解者が現れ助言し支えになってくれる…目線は客観的な視点ながらも穏やかで暖かくて大きな「愛」を描くダルデンヌ兄弟の優しい眼差しにとても好感が持てた。

画面に映える少年の赤い上着もとってもグッド!