エソラゴト

メメントのエソラゴトのレビュー・感想・評価

メメント(2000年製作の映画)
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『メメント』(2000)

『インセプション』(2010)

『テネット』(2020)

…ノーラン監督が10年おきに時間軸を操る現代劇を製作している件、"TENET"というタイトル自体10(Ten)という単語を正逆重ね合わせた造語であることー(信条・主張という意味もあり)

『インセプション』は劇場では勿論、何度か自宅でも鑑賞しているが、『メメント』に関しては『バットマン ビギンズ』を初鑑賞してノーラン監督の存在を知った2005年頃に観て以来。新作『テネット』に関する何らかのヒントが隠されているのでは?と思い予習の為にも『インセプション』と共に再鑑賞した次第。

頭部を損傷し10分間(ここでも10というキーワードが!)しか記憶を保てない前向性健忘という記憶障害になったある男の顛末を追ったある意味正統派なミステリー及びサスペンス作品であるにも関わらず、時間軸を逆らいながら真実へと導いていくという展開や斬新な見せ方は流石ノーラン監督の真骨頂。

開始早々『テネット』の予告で何度も見せつけらている逆回転再生映像がいきなり映し出される場面はテンションが急上昇!まさかこの劇場長編作品第一作目の時点で既に20年後の作品の構想がノーラン監督の頭の中にあったのでは?…なんて妄想も湧き立つ程。

とはいえ『インセプション』や『テネット』のようなSF要素は皆無な為『テネット』に直接関係するようなヒントは無いようにも見えたが、主人公の過去に関する苦悩や葛藤それを乗り越えようとする為のもがきや試行錯誤など内面性や精神面の描写は後の『バットマン』シリーズや『インセプション』に通ずるものがあったのは確か。(多分『テネット』でもジョン・デヴィッド・ワシントン扮する主人公がそのような境遇であることが予想される)

内容はともかく『メメント』『インセプション』の共通点として言えることは1回観ただけでは理解・咀嚼できないということ…。恐らく『テネット』も同じように頭をフル回転させたとしても何度か足を運ばざるを得ない作品になることは間違いない。

時間・空間・夢・記憶・潜在意識…これらを駆使した複雑なストーリーや今まで見たこともない映像を次々と世に送り出すノーラン監督。彼の頭の中が一体どうなっているのか覗いてみたくなる。