エソラゴト

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のエソラゴトのレビュー・感想・評価

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本作の主人公、天才数学者のアラン・チューリングは2009年にブラウン英首相による名誉回復が、2013年にはエリザベス女王による死後恩赦が与えられたという。

今作公開の2015年は戦後70年の節目の年でもあったが、何故半世紀以上もの間彼の功績が明るみに出なかったのか…歴史の真実、彼の生涯と秘密をこの映画では紐解いていく。

天才と変人は紙一重…そんな格言を体現する主人公の少年期、戦中、戦後の3つの時代をまるで暗号を解いていくかのように物語は進行するが、そこまで複雑に入り組んでいる訳ではなくサスペンスやラブストーリー時にはコメディを交えながらグイグイと引き込まれてしまう展開に目は釘付け。

主演のベネディクト・カンバーバッチは惜しくもこの年のアカデミー賞主演男優賞は逃してしまったが、天才特有の傲慢さやいけすかなさ、疎外感そして天然ボケなところまで表情一つで見事に演じ切る熱演には感服。

暗号を解読する方法の一つに文字通りカギとなる「キーワード」を見つけ出すこと。この物語自体にも幾つかの「キーワード」が存在していた。

孤独 葛藤 情

そして…



その全てが機械では解読不可能な人間の普遍的な本質を表していて、我々の人生に於いて大切なこと避けては通れないものであるが故にその一つ一つの重みが深く胸に突き刺さった。

劇中クリストファー、アラン、ジョーン、この3人の間で語り継がれるある言葉はその時々で発する者・受け取る者の状況や環境、感じ方や捉え方が変化し重みや深みが増していくところに自分の心は大きく揺さぶられた。


"誰も想像しなかった人物が、誰も想像しなかった仕事をやってのける"ー