mimitakoyaki

A2のmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

A2(2001年製作の映画)
4.0
前作「A」の続編で、アーレフに名前を変えたオウム真理教の内側から撮ったドキュメンタリー。

今回は出家信者達が住もうとする場所に必ず住民の反対運動が起きて、そこを中心にオウムの問題をどう解決するか、オウムと社会の融合は出来うるのだろうかと言う事を問いかけています。

オウムを監視すると言う事で町の住人が団結して、監視行動をする中で住民同士の繋がりも出来たり、オウムを監視していたはずの住民と信者の間にささやかに交流が生まれ、そこから信者を一人の青年として見て信頼関係まで出来てるのです。
いつの間にか「見守る会」みたいになって、そこにはメディアが作ったフィルターを通さずに自分の目で信者を見れるようになった住民達がいました。

町からオウムを追い出すために今まで色んな事をしてきた住民達なのに、信者が町から出て行く日には、寂しくてお別れ会をしようかとか、みんな戸惑いながらも人間同士として信者と初めて関わり、「オウム=悪」とは一概に言えない事に気付いていくんです。

で、確かに信者達はみんなそれぞれ人間的だし、良い人達だと思うんです。
でもやっぱりズレがある。
松本サリン事件の被害者であり、当初警察に犯人扱いされた河野さんの家に教団幹部が謝罪に行くのですが、そこでも噛み合わない。
信者自体が一連の事件をどう受け止めるかって言うことが出来てないから、形だけの謝罪になってしまうし、謝ったら事件を認めてしまう事になるから歯切れが悪くって、河野さんはその辺をすぐに見抜いて「謝罪は要らない」と言うんですね。

オウムって一体何なんだろう。
でもそれを取り巻く社会のおかしさは少なくとも感じることは出来る。
何を目指してあの人達が生きてるのか、あたしにはなかなか理解できない。
麻原を尊師としてずっと崇め続けてることも理解できない。
でも、彼らにも信じる自由があるし、あの住民と信者の心の交流みたいなものは、今の日本の社会において一つの大切なヒントを見たような気がしました。
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