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上海特急のmichiのレビュー・感想・評価

上海特急(1932年製作の映画)
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列車ものは、見ず知らずの人がたまたま乗り合わせただけなのに自ずと人間関係が濃くなっていくのがおもしろいですよね。3日間の旅でいろいろ事件に巻き込まれながら、最後は名残惜しそうに挨拶をして散っていく乗客たちが印象的です。
しかし、反乱軍にジャックされるとか、大変な混迷の時代だったんだなぁ…。
ちなみに北京ー上海間は、今の高速鉄道では5時間くらいで着くらしい。

何を言われても、何が起こっても、全く動じる素振りを見せない上海リリーを演じたマレーネ・ディードリッヒがすごくかっこよかった。それでいて、愛する人と二人になると手が震えてしまう繊細さ。後年の(公私共に)強烈な悪女のイメージもあるけれど、本作では毅然とした美しさが際立ちました。
アンナ・メイ・ウォンの淡々と謎めいた感じにも目を奪われました。彼女は映画界で相当苦労したと読みましたが、あんなに妖艶なオーラ溢れる女優でも活躍したのが人種差別が優先される時代だったのは不憫でならない。

とある中国人と西洋人のハーフが「自分は西洋人には見られたくない」と言ったのに対して、「中国人など将来米を食べて死ぬだけだぞ」という返しが意味不明でウケる。中国人をなんだと思ってたんだ…
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