よしまる

ナバロンの要塞のよしまるのレビュー・感想・評価

ナバロンの要塞(1961年製作の映画)
4.0
 
 観てなかった続編を観るために1作めを見直す企画。今回は30年以上ぶりにマクリーン原作の戦史もの「ナバロンの要塞」。

 当時は全然知らなかったのだけれど、15作あるマクリーン原作映画のうち一番最初の映画化作品。しかし1961年製作にしては特殊撮影は素晴らしいし、ストーリーもキャストも重厚で見応えがある。現代では小説の映画化というと痛さしか見えないことも多いが、さすがマクリーンは面白い!と思わせてくれるのがすごい。

 イギリスの小説家の物語をイギリス監督であるジョンリートンプソンが手がけ、デビッドニーブンらイギリス人俳優が脇を締める。それだけでなぜかシュッとした印象になり(これ関西でしか伝わりませんかね)、ハードな中にもウィットとユーモアに溢れた世界を構築してくれていた。工作員チーム全員が胸にそれぞれ熱いものを秘めていながらクールに振る舞うジェントルさがイギリスらしくて実にカッコ良いのだ。

 ドイツが誇る難攻不落の要塞を、叡智を結集して攻略するエキスパート集団。各人の特技を活かした戦術が冒険アクションとして面白い。だけでなく、人としての在り方、戦争の是非といった重厚なテーマもしっかりと織り込んでいるところがマクリーン味で、脚本も演出もとてもうまく料理している。

 ギリシャ軍所以でドイツの車両や戦車がシャーマンなど全部アメリカ製である違和感や、東宝特撮の宇宙人みたいにマントを付けた要塞の砲兵などご愛嬌も多々あるのだけれど、それ以上に前半の嵐の中を上陸するシーン(セットとは思えないド迫力!)や、仲間に裏切り者がいるというチーム物に欠かせないサスペンスなど、唸る要素がたっぷりの傑作だった。

 次作は一気にコメディタッチ、戦争ものとはほど遠いという噂を知って観る機会を逸していたので、本作の面白さを充分に再確認してからのチャレンジはいろんな意味で非常に楽しみであーる。