HK

アレックスのHKのレビュー・感想・評価

アレックス(2002年製作の映画)
3.8
時は全てを破壊する

ギャスパーノエ監督によるフランス映画

映画自体はクリストファーノーランのメメントのように、時間軸をチャプターごとに切り分け、終わりから最初の方に戻っていくという構成をとっている。いきなりエンドロールから始まるため、あまりこういう変化球に慣れてないためとても驚いた。

映画序盤はあまりカットを割らない長回しの撮影が施されているが、ほとんどPOV撮影のようでグワングワン動くために見ているこっちまで気持ち悪くなるほどであった。被写体に映るのは漆黒の暗闇と不幸を暗示するような深紅のネオン。そして重低音を用いた不気味なBGMではっきり言って見ているのが辛いぐらいのものであった。

そして物語中盤、最も凄惨な光景を見ることになるが、ここまで淡々と10分近くただカメラを置くという撮影方法はある意味すごい試みであった。無垢の祈りのように人形に置き換えるというような抽象的な表現は一切せず、ただ強〇される様子をカットを割らずに映すのはある意味ギャスパーノエさんの作家性が垣間見えてとても良かったと思う。(CGの使い方も見事)

最後の終わり方も、クルクルカメラをプロペラのように回転させて、段々と重低音が大きくなり不安を煽るBGMとポケモンフラッシュを合わせたようなフラッシュがいい意味で不快にさせてくれる。

絶対に人におすすめは出来ない作品ではあるが、それでも暗い映画が好きな自分にとってはとても面白かった。
HK

HK