ろ

ライフ・イズ・ビューティフルのろのレビュー・感想・評価

4.9
童話のように悲しみがあり、童話のように驚きと幸せに溢れている。



“Life is beautiful” というより、”Father is beautiful”!
ア~なんて愛情深いお父さん!素晴らしいですね。


前半は面白おかしいコミカルなエピソードがてんこ盛り。とても陽気な気分になります。

特に好きだったのは主人公グイドが恋した女性ドーラを振り向かせようとする場面。演劇の帰り、車で家まで送ってあげます。外は土砂降り、車も壊れてしまう。大雨の中、グイドは階段に赤い布をサッと敷く。彼女の足元が濡れないように気遣ったんですね。赤い布はまるで長いレッドカーペットのよう。とてもロマンチックで素敵な場面。

暗示をかける仕草も好きだったな。
「眠れ、眠れと自己暗示をかければ眠れるんだ」と友人が言うと、グイドは指を動かしながら「起きろ、起きろ・・・」と念じる。けっこう緊迫したシーンでもグイドの手招きは笑いを誘います。

あと、ツボだったのはエチオピアケーキ。
ドーラの婚約パーティで登場するこのケーキのインパクトがすごい(笑)大きなラクダのオブジェがそびえ立ち、ロウソクがいっぱい突き刺さっている。ホテルはクラシカルで上品なのに、急に南国感ぶっこんできたな~と笑ってしまう(笑)



後半はホロコースト色が強くなる。(突然、戦争色が強くなるもんだから『蝶の舌』を思い出しちゃった。)苦しい境遇の中で、子どもに不安な思いをさせまいと グイド、頑張るんです。本当にいい人なんだ。

強制収容所に入れられたグイド一家。
ドイツ兵の通訳を買って出たグイドはウソ通訳をします。
「このゲームでは1000ポイント取ったものが勝ちだ。我々もご褒美の戦車が欲しい。お腹が空いたり、泣いたら減点だ」
息子ジョズエのためにいつも笑顔で面白いことをして笑わせるグイド。
ジョズエが隠れている箱の前を通る時、ウィンクして行進して見せる姿がたまりません。




この1年、単身赴任中の父とメールのやり取りをしていました。
月に1、2度のやり取りだけど、以前より心の距離が近くなったような気がします。私は話すよりも文章の方が本音を出せるタイプだからかもしれない。

先日まで大学を中退するか、悩んでいました。
理由は本格的にうつ病の療養をした方がいいかもしれないと思ったから。毎日通学するのが精神的にしんどくなってきて、頭痛や腹痛に襲われて・・・。学校に行かなかったら「明日は行けるんだろうか」とか「授業の遅れを取り戻さないと」と焦ってしまう。学校に行けても人の多さに酔ったり、授業を楽しめない。授業内容は全部1、2年生の時の復習に思えて、学ぶ喜びが薄れてきた。学校に行っても行かなくても辛いなら、もうやめた方がいいんじゃないかと思いました。でも、すっぱりやめる決断も出来ない。3年間頑張ってやってきたのにやめるのはもったいないかなとかいろいろ考えてしまう。

その悩みをメールで送ったところ、しばらくしてから返信がありました。

どんな選択をしても間違いではないし、応援すること。
でも一番してほしいことは、「自分が楽なように毎日過ごすこと」だと書いてありました。
そして、学校にも行けないぐらい体調が悪いのにメールをくれてありがとう、嬉しかったとも書いてありました。

どうやら最近父も会社でキツイことがあったようなのですが、その辛さも見せず、私と真摯に向き合ってくれました。
私は父の愛情深さをひしひしと感じています。


私の父もグイドと同じ。素晴らしい人だ。
ろ