Stroszek

ゼイリブのStroszekのネタバレレビュー・内容・結末

ゼイリブ(1988年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

"THEY LIVE"というメッセージがグラフィティの一部として最初に表れ、そのままタイトルバックにもなっている。"They Live. We Sleep."など、壁に書かれた落書きと広告のメッセージ(と主人公がグラサンをかけたときに気づくメタ・メッセージ)の対立がまず目につく。左手の薬指に指輪があるから結婚していると思われるのだが、背景が明らかにされない主人公。大切なグラサンをゴミ箱に隠すなど、行動原理も地球に来たての異星人のようだ。1958年に何が起こったのか、ロメロへの言及など、気になることが多い。

[鑑賞メーターから転載 鑑賞日2016年6月1日]

1988年。何度目かの鑑賞。1980年代アメリカ社会からの引喩と思われるのは、レーガノミクス的な富の一極集中(トリクルダウンは決して起こらない)、カットが短く切り替わるMTV的広告、地球から出勤するゼイリブ星人とエアコミューターの類似。「人間のままなのに高台の豪邸で暮らす富裕層」が、ゲイカップルと独身女性として表象されているという点に、ゲイフォビアとミソジニーを感じる。プロレスシーンは、「力で勝った者が真実を他者に押し付けている」様子にも見え、批評家ジョナサン・リーサムが「右翼的SF」と言ったのも頷ける。
Stroszek

Stroszek