しろくま

マルタのやさしい刺繍のしろくまのレビュー・感想・評価

マルタのやさしい刺繍(2006年製作の映画)
3.8
《何なの?箱の中を見せて》
〝すごく素敵。驚いたわ。マルタやるじゃない〟〝以前はこういうものを縫っていて、辞めた後もいくつか手元に残しておいたの。ランジェリーの店を開きたかったけれど、遠い昔の夢よ〟

最愛の夫に先立たれ生きる気力をなくし、意気消沈しながら、毎日をただ何となく過ごしていた80歳のマルタ。ある日、彼女は、自分でデザインして刺繍をしたランジェリーの店をオープンさせるという若い頃の夢を思い出す。〝遅くないわよ。もう一度かつての夢に命を吹き込むのよ〟と友達に励まされて、ランジェリー作りを始めるのだけど…。

保守的な村人からは〝なんて破廉恥な下着なの〟〝いい歳をして。恥を知りなさい〟と散々な言われよう。周りから冷笑され軽蔑されて心が折れそうになるけど、それでもマルタは、友人3人とともに夢を実現させるために…。

誰も客が来なくてオープン早々潰れそうな店をどうやって繁盛店にしていくのか、村人のランジェリーに対する意識をどうやって変えていくのかが見どころだね。

最近観た〝チア・アップ〟のお婆ちゃんたちもパワフルだったけど、本作のマルタ達も負けていない。この歳になると、そろそろ終活をしなきゃって人生の幕引きを考えようとしちゃいそうだけど、新しいことにチャレンジしていくって凄いね。周りから何と言われようと、夢を叶えるために前向きなのが素晴らしい。

本作は、マルタ達の頑張りが人々の心をやさしくあたたかく紡いでいく最高にチャーミングでハートフルな感動ストーリー。それに、商品に付加価値をつけて販路を開拓しようとする展開は、シニア世代に向けた〝起業のススメ〟的な映画でもあるかな。これはお勧め。

視聴メモ:2024.03.20/035/図書館DVD(字幕)
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