よう

ホビット 思いがけない冒険のようのレビュー・感想・評価

4.0
(再鑑賞)
『ロード・オブ・ザ・リング』三部作に続き、ドラマ版の『力の指輪』に向けての鑑賞。
初見も配信で観ていて、その前回より今回のほうが楽しめた。たぶん、トールキンによる物語世界に対してより理解度が深まったってことかな。


『ロード・オブ・ザ・リング』1作目と同じような構造ではある。
ホビット庄から旅が始まり、敵に襲われつつ、途中でエルフの谷に寄って旅の目的を明確にした上で、本格的な冒険へ。

主人公はビルボ。
フロドに比べて、軽さとコミカルさがある。
演じてるマーティン・フリーマンが絶妙にいい。
旅の仲間たちが自宅に集まるくだりでの迷惑顔など、ドラマ『SHERLOCK』でもお馴染み。
動きそのものの、かわいさとコメディ感が見事。

このビルボ、ピンチの時に機転を利かせるのがいい。
さらに、ゴラムに対して見せる情けのシーンがよかった。『ロード・オブ・ザ・リング』に通ずる、人としての矜持がそのくだりに描かれてる。
あと、〈故郷〉をめぐる対立と和解のシーンもいい。ホビットって故郷をすごい大事にしてるよね。そこでの日々の小さな喜びを重んじてるのがいい。

ゴラムの解離性障害な表現、顔のサイズ変えるとか水面に映る顔とかみたいに『ロード・オブ・ザ・リング』の時ほどに演出つけてはなく、アンディ・サーキスの落語的な芝居だけでその表現をしている。
ゴラムがキャラクターとして認知されてるというのもあるけど、アンディ・サーキスの芝居だけで充分伝わるってことでもあるかなと。
なぞなぞ対決のときの、たまに見せるかわいさよ。

ビルボが例のアレを拾って返さないとか、なぞなぞ対決の勝ち方がズルいとかは、やや気になるけどね。
アレの威力のせいでそうなってんのか、ビルボがもともとそういうキャラクターなのか。どっちかと言えば、前者だとは思うけど。

今回のアクション。
洞窟内のくだりでは吊り橋とかハシゴとか使っていて、小さなアイディアが連続する感じで面白い。インディ・ジョーンズぽい。
クライマックスの木が倒れていくところとかも、ベタながらいい。
『ロード・オブ・ザ・リング』の戦闘はダイナミックではあるけど、敵に突っ込んだもん勝ちって描写が多かったので、今回のほうが比較的好み。


1作目として、好感を持つ主人公が出てきてるってだけでもOKだし、『ロード・オブ・ザ・リング』らしさもあるし、始まりとしてなかなかいいかと。
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