えいがうるふ

プラダを着た悪魔のえいがうるふのレビュー・感想・評価

プラダを着た悪魔(2006年製作の映画)
4.0
言わずと知れたアン・ハサウェイの出世作。アナ・ウィンターのドキュメント「ファッションが教えてくれること」を観るため久々に再鑑賞。

マイ・フェア・レディよろしく芋娘がどんどん洗練されていく展開としてはヒロインが最初から人外レベルに可愛いくてスタイル抜群なので何の説得力もないが、あんなに何着せても映えるならそりゃあれこれ着せ替えしたくなるのがファッション業界人情というもの。
衣装にかかった費用だけで総額100万ドルとも言われる夢のワードローブを眺めているだけでも眼福。

潔く憎まれ役をやっているメリル・ストリープがすごく格好いい。実在するアナ・ウィンターよりも誇張された強面ながら格段に上品なのはさすが。
自分の上司がもしミランダのようにバリバリ公私混同するパワハラ上司だったら確実に病むだろうが、代役がいない仕事ぶりは尊敬に値する。実際、常に斬新さが求められ何でもアリに思えるファッション業界においては、彼女のような泣く子も黙る絶対的な基準となる存在がいないとかえって混乱するのかもしれない。

ミランダの右腕ナイジェルを演じたスタンリー・トィッチ、ヒロインの彼氏ネイトを演じたエイドリアン・グレニアーなど脇役キャスティングも◎。
強いて言えばこの作品のサイモン・ベイカーは見るからに信用出来ないプレイボーイ顔なのでもうちょっとヒロインが迷うぐらいいい男にやってほしかった。

テーマがテーマなので当然とはいえ冒頭からあからさまにルッキズムをゴリ押ししてくるのには辟易するが、そんなタイプの視聴者をも懐柔する心温まるエンディングにつないだところが王道ハリウッドクオリティ。
その予定調和も込みで楽しむキラキラ系エンターテイメントとして大変秀逸。