レオピン

リボルバーのレオピンのレビュー・感想・評価

リボルバー(1988年製作の映画)
3.8
はじめてのおつかい 札幌リベンジ編

群像劇。ポール・ハギス『クラッシュ』のように最後の最後で交差する。荒井脚本がお見事。なんかさわやか読後感がありましたよ。ロマンポルノの敏八さん最後の作品。

それにしても映画ってのは時代を伝えるのに最適なメディアだなと。

88年夏、とにかくみんなタバコを吸ってビールを飲んでいた。桜島が見える鹿児島の町 看板に自販機 コンビニSPURってどこだろう?
ビーチのハイレグにワンレンボディコン ピザの出前が30分超えたらタダってこの頃か タバコは峰 ビールはスーパードライ 青函トンネル開通 ブルートレインで小倉から東京へ

一番時代を象徴していたのが全国各地の競輪場をハシゴして稼ぐ柄本明と尾身としのりの二人組。定職につかず金がなくなったら働き出すという、まさにフリーター元年。

そろそろ切り上げ時かという時の二人の貯金が合わせて300万という。一桁違う
お水の女の子たちが借り上げで住んでいるマンションも2DKだ 1Rじゃない
これがバブル期かぁ 

この映画の沢田研二は見ればみるほどハマっている。スタローンの『コップランド』って作品も冴えない警官が主人公だったが、同じようにスターは冴えなければ冴えないほどいい。
のっそり自転車をこぐ姿は鈍重で大体制服が似合わない。輝いて見えだしたのがヒモ生活になってから。無精髭生やし、夕方に起きだして女物の服をさっと羽織る。これがいい。

だが拳銃の報せを聞いた途端に行動力を取り戻す。依願退職になっても奪われた拳銃というのは大きな心の傷となりうるものなのだなぁ。警察組織恐るべし

清水と交差するのが、夜の公園でレイプ現場を目撃してしまったことからボコボコにされた高校生。動物園のごみ箱でデスノートならぬ拳銃を手にする。この高校生の面構えが誰より危険だった。拳銃のことを本屋で調べて生徒手帳にメモ、電話帳でバーテンの居場所を突き止める。ネットもケータイもないアナログ万歳

しかし行動力ありすぎないか。同級生に金を借り寝台で鹿児島から札幌へ。バーをつきとめサウナで時間をつぶし、パチンコ屋で目標を突き止める。きっとガリ勉ゆえの行動力なんだろう。
やっぱり真面目な人の方が怖い。危ない人の方が一見生きている感じがするが、普通の人がスイッチが入ったら誰にも止められない。海に原チャリで突っ込むおじさんにはならないように気をつけようっと。

不倫おじさんにベストヒット小林克也 女子高生にアリエス佐倉しおり
クズバーテンの山田辰夫、クセつよ記者の我王銀次 二人とも本当にいい俳優でした
ホステスに手塚理美 あのマンションに転がりこみたい。ベッドの下に布団敷いてゴロゴロする毎日 うらやましいなー
見合い相手の南條玲子 この人はよく見た記憶もあるがはっきり思い出せない。「ダウンタウン物語」かなぁ
元々公務員という肩書しか見ていないようだったが冷たくされればされるほど好きになっていったのか。ストーカーという言葉は当時まだないがそれに近い雰囲気はある。こういう人に説教とか一番ダメなんだよ。

清水が喉に刺さった小骨という言い方をしていた。惚れられたというのをそう表現するか。
その処理に失敗したから自分はそのケジメをとるつもりなのだということか。

みんななんだかうっすら性差別を発揮しているようにみえた。好景気の中で男は、女はって頭がかなり強固だった頃なのかも。ただあの二人組だけにはそれはなかった。最後に口づけをかわすあの二人。いつまでも旅を続けていて欲しいw

正直ジュリーについてあんまり知らない。高校生の家を訪ねた時のただの浪人ですと素っ気ない返事や、記者の頭からビールをかけるとこなんかは彼のマスコミ対応を想像させる。最近ではコンサートでの暴言問題などしか知らずいつまでも尖ったイメージのある人。それもきっとさんざっぱら追いかけ回されたからなんだろうな。清水も同じことを言っていた。人はいつも何かから逃げているんだと

ジュリーはもう追いかけちゃダメ
DVD廃盤 見れるうちに見るべひ

⇒奪われた拳銃もの映画ベスト級
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