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悪の教典のSameのレビュー・感想・評価

悪の教典(2012年製作の映画)
3.7
なんとなくバトルロワイヤルな雰囲気を匂わせるポスターのこちら、日本でカラッと無慈悲なホラーを撮らせたらナンバーワンな監督、三池崇史によるバイオレンスホラーです。

この映画なにが教典なのかよく分かんないですが、ハスミンこと蓮実 聖司というサイコパスでサイコキラーな男の人生の物語となっていて、演じるのは伊藤英明。

そしてもの凄く、デ・オウなサービスカットが多い(笑)

これは、女性のセクシーなサービスカットが多い映画って、同じ女性からはこんな奇妙な感じに見えてるのかなあ、と思いつつクスクスしてたのですが、原作にもこんな裸のシーンがおおいのかね?
あんな外が丸見えのあばら屋ですっぽんぽんで懸垂とかしてたら通報されまっせ。

そんなお家では文字通り裸族なハスミンは、私立晨光学院町田高校の英語教師。さわやかでハンサムで頭が切れて、生徒にも慕われているスーパー教師なのですが、彼は他人への共感能力が無いサイコパスだったんですね。
映画の序盤こそ良い先生だったのですが、徐々に本性を現し、後半の大スプラッター大会へと繋がっていきます。

さて今回はここからネタバレ





映画はカラッと残酷で、おおむね面白かったのですが(残酷描写はもっと笑えるくらいやってほしかったけど)、ハスミンの、殺人が行き当たりばったりすぎるんですよねえ。
もちろん途中の釣井教諭や圭介は、正体に迫られたからだし、タデやミヤは、まずいことを知られちゃったからなのは分かりますが、最後のひとクラス皆殺しはそこまでやんなくてもなんとかできたんじゃない?
正直映画を見ただけでは、ハスミンの気持ちがわからなかったのですが、ちょこっと調べてみるとどうやら「理想の王国」を作りたかったようです(笑)

まずもって、自分に好意を寄せるみやと関係を持っちゃうあたり、完璧を目指す潔癖性が感じられないのですが、これはまあこういう俗物的な部分もハスミンは持ち合わせてるんですねでいいんですが、タデの携帯をカバンに入れて持ち歩いてるってどうなの?
行方不明になってる訳だから警察が調べてGPSで位置特定されたらすぐバレちゃうし。しかもミヤに見つかった時電源入れてあったしね(笑)親御さんに返すか、電源切って家に隠しときゃよかったのに。

結局これのせいであれよあれよと芋づる式に全員殺さなきゃならなくなるわけで、アホだよなあハスミン。

釣井や圭介にも疑いをかけられているあたり、頭脳明晰で完璧に良い人にカモフラージュ出来て他人に共感は出来なくともうまく社会に紛れ込めてるサイコパスじゃ無くて、結構行き当たりばったりで無邪気な殺人鬼という感じですかね。
アメリカ時代はもっと無邪気に無茶をやらかしていたみたいだし。

庭で相棒ドラム缶で焼いてたしな(笑)

殺した人数は、過去のホラー映画のレジェンド達の中でも多い方じゃないですか?ジェイソン・ボーヒーズとかマイケル・マイヤーズ達にならぶのか?
ちなみにジェイソンくんはシリーズ通して154人だそうで、ハスミンはこの映画だけで40人超なのでかなりのハイペースです。続編も作りたいと原作者も監督もおっしゃってるので、記録は伸びそうですね笑。

続編、そうだなあ。捕まった後精神病院に収監されると思われるのでそこでの活躍を描くか、これまでもまったく関係ない業種に転身した過去があるし、さすがに教員には戻れないと思うので、この事件の影響がなさそうな田舎で活躍するとかもいいですね。湖のほとりのキャンプ場の管理人とかね(笑)

さて、文化祭でのハスミンの大虐殺に対抗する生徒達についてですが、なんといってもホラー映画にはシリアルキラーに対抗する主人公達であり犠牲者が必要な訳で、犠牲者達に物語があればあるほど、ホラー映画は盛り上がる訳です。
その点でアーチェリー部のかけると恋心を寄せるさとみのくだりはよかったですね。
儚い思いを残酷に断ち切る三池監督(笑)これ原作ではクラスのメンバーそれぞれにドラマがあって、さながらバトルロワイヤルのようで面白いんでしょうね。個人的に群像劇は好きなので、そっちの描写がもう少しあっても良かったけど、学園ものだとよほど演技がうまいか、見た目の個性が立ってないと、全員制服だから分かりにくいか。

そういえば圭介役の染谷将太と怜花役の二階堂ふみは、思いを寄せあう設定でしたが、あれですね『ヒミズ』の続きみたいでしたね。ヒミズではつらい現実から立ち直って死ななかった染谷君、この映画では中盤で退場しちゃうのはちょっとびっくりしたけど、ハンダごてで穴だらけにされるのは痛いっすね!あれが一番嫌な殺され方だな。
映画ではそのシーンは無かったけど、何かで見たメイキングでは穴だらけになる顔の特殊メイクの写真はあったので、実際穴だらけのシーンは準備してたみたいですね。悪趣味(笑)見たかった。

あとは三池監督映画のお楽しみ、コメディリリーフ?の山田孝之ですが、完全に、

パンツを嗅いでからの「みや?」の為だけの存在(笑)

笑いましたけど。きっと俗物先生なんだろうけど、何考えてるかわかんない先生っていたよなあ、と思い出しました。

総評としましては、毎度毎度三池監督の新作のスピードには驚かされるのですが、その分やはり作り込みとか、思い入れなんかが欠けてて、駆け足な印象の映画になってるのはいつも通りですかね。
もっと作り込めばもっとオモシロイ映画作れそうなのに。
とはいえ十分満足できる映画なので、見て損は無いです。
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