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ラビット・ホールのharuのレビュー・感想・評価

ラビット・ホール(2010年製作の映画)
3.5
悲しみは、いつの日か軽くなる。

交通事故で4歳の息子を失ったベッカとハウイーは、悲しみに暮れ、夫婦仲もぎこちないものになっていた。ある日ベッカは、偶然事故の加害者ジェイソンに出会う。やがてジェイソンの学校帰りに公園で語り合うようになる二人。それはベッカにとって癒しの時間となっていた。

主人公ベッカはかなり気が強く、愛する息子の死という経験もあって、他人を容赦なく傷つける。家族にすら気を遣いまくられてるだけに、ジェイソンに出会ったときはてっきりブチギレるのかと思いきや、まさかの劇中で最も穏やかな顔を見せる。まだ高校生のジェイソンに息子を重ね合わせ、手作りのお菓子を食べさせ、彼の話を聞き、彼が作った漫画を読み、褒める。ジェイソンは彼なりに心を痛めているが、まだ子供で、ベッカの悲しみを心から理解はしているわけではない。(それが結果的に良かったりする)
「悲しみ」は人それぞれで、ベッカはとにかく息子を忘れようと息子関連のものを片っ端から捨てていく。一方夫のハウイーは息子の思い出の中で生きていて、毎晩息子の動画を見て涙する。同じく息子を亡くした経験を持つベッカの母は、スピリチュアルな話で救われている。ベッカからすれば、わざわざ息子を思い出して悲しみに浸る夫が理解できないし、神がいるならそもそも息子は死んでいない。
夫婦だろうと家族だろうと、悲しみは人それぞれだから、「共有」はできない。しかし時が経てば、誰しも岩のように重い悲しみがポケットの中の小石のように軽くなる。お母さん良いこと言うなぁ。
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