KouheiNakamura

ロード・トゥ・パーディションのKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

4.3
雨よ、降り止むな。


「アメリカン・ビューティー」でアカデミー賞を受賞したサム・メンデス監督によるマフィア映画。マフィアの殺し屋とその息子の関係を軸に、非情の世界に生きる男たちを描く。トム・ハンクス、ジュード・ロウ、ポール・ニューマン、ダニエル・クレイグらの豪華キャストの競演も見逃せない。

雨が降る映画が好きだ。たとえその映画があまり面白くなかったとしても、雨のシーンが出てくるだけで「おっ。」となってしまう。
この作品でも非常に印象的な雨の場面が出てくる。序盤と終盤に降る雨はその意味合いが微妙に異なり、登場人物たちの心情を代弁しているようでとても美しかった。
雨だけに限らず、この映画はとにかく撮影が素晴らしい。これは「明日に向かって撃て!」を手がけたコンラッド・L・ホールの手腕によるところが大きいだろう。鏡やガラス越しのショットや雪景色から春先への季節の移り変わり、さらには横移動のカメラで時間経過を示すなど挑戦的な撮影も目を惹く。惜しくも彼の遺作となってしまった今作だが、その美しい映像はしっかりとフィルムに刻まれて後世に伝わっていくことだろう。

また撮影だけではなくトーマス・ニューマンの音楽や俳優陣の熱演、シンプルだが重厚なプロットなど全てにおいて高水準な一作。渋〜い男たちのドラマを体感したい方は是非。オススメです。
KouheiNakamura

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