芸術家の気質を持った人って、2つのタイプに分けられる気がします。
① 自分が創ったものを他人に楽しんでもらいたい
小説家、画家、彫刻家、演出家、建築家、シェフ…本作の主人公エド・ウッドの職業、映画監督もこちらのタイプ。
② 自分が何者かに扮して表現する姿を観てもらいたい
俳優、ダンサー、歌手、落語家…エド・ウッドの私生活での顔、女装家はこちらに当てはまるかもしれません。
実在の人物、エドは①として気の合う仲間たちと共にたくさんのSF&ホラー映画を創り、②の方でも彼の性癖を理解し支えるパートナー(妻)を得ることが出来ました。
恵まれたアーティスト人生のようですが、彼には大きな欠陥がひとつ、ありました。
(特に①の)才能が無かったのです。
メガホンをとった映画は駄作のオンパレード。
「史上最低の映画監督」という称号を授かってしまいます。
…そんな、情熱と才能が反比例しているようなエキセントリックなアーティストを、ティム・バートン監督は愛すべき人物として描き出します。
『市民ケーン』を思わせるモノクロ画面も美しいし、B級ドラキュラ役者を演じたマーティン・ランドー(アカデミー助演男優賞受賞)のパフォーマンスも絶品。
ジョニー・デップとバートンのコンビ作としてベストであるだけでなく、バートンのキャリアの中でも最高の1本だと思います。