踊る猫

エド・ウッドの踊る猫のレビュー・感想・評価

エド・ウッド(1994年製作の映画)
3.5
春はまだ遠いはずなのに(あるいは部屋を暖かくし過ぎたせいか)迫り来る眠気に耐えながらこの映画を観た。なので、印象的なシーンも何も覚えていない。酷い観衆も居たものだが、敢えて言えばこの映画は「才能」の持つ持たないに関わる残酷さを、ティム・バートン版『アメリカの夜』のようにして描いた一作であると言えるだろう。二十六歳で『市民ケーン』を撮ったことに嫉妬を抱きながら、撮り方といえばありあわせのフィルムを繋いだり筋の破綻など関係なくキャストやスタッフをコロコロ変えて撮って行くその様は痛々しい。手を抜いているわけではなくて、エド・ウッドにはそういう撮り方しか出来ないのだという不器用な様が伝わって来る。ラストのオーソン・ウェルズとの対面が感動的だ。結局のところ「最低」な映画監督としてその名を刻みつけることになるわけだけれど、エド・ウッドは幸せな人生を送ったのだと信じたい。そんな一作だ。
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