ふしみあい

2010年のふしみあいのレビュー・感想・評価

2010年(1984年製作の映画)
5.0
やっと観れた、2010年。

2001年宇宙の旅が私の中で神格化しすぎて、続編にあたる今作を観るのが怖かった。しかしいざ再生し始めると、前作を超えるほどではないけれど、宇宙船のデザインとか、物語全体を漂う静かで奇妙な空気とか、何と言っても前作に出てきたディスカバリー号とHAL9000の再登場など、すごく好みだった。ありがとう!

HAL9000を生み出したチャンドラ博士のルックスが、濃いヒゲとメガネ、丸顔のスタンリー・キューブリックのようでわざとかはわからないが、なんだか嬉しかった。

米ソ間の冷戦がまだ終結していないという設定で、それ自体に古さや時代性を感じてしまう。
それでも、キューブリックが他作品への転用を防ぐために破棄させたディスカバリー号を、映像から必死に再現し、見事画面の中にあの存在感を蘇らせたのにめちゃくちゃ感動した。
宇宙のなかにポツンと浮かぶ異様な雰囲気を醸し出すディスカバリー号の存在は、この映画の核となるものだったと思う。

2001年宇宙の旅が1968年公開で、2010年は1984年公開。実に16年の時を経て続編が作られたのだが、2010年の方に古臭さを感じてしまう。
やはりキューブリックの徹底主義による時代を感じさせない撮影、今見ても十分に機能的な宇宙船、魅力的なHAL9000。やっぱり2001年〜はすべての点において、異常な作品だと感じる。

しかし今作ではそれでも前作の雰囲気を踏襲した物静かな淡々とした台詞回しや、新しいレオーノフ号、前作よりも際立つ、モノリスやヴォーマン船長の異様さ、不気味さ、そういった大事な要素がちゃんと押さえられていた気がする。

偉大すぎる前作と並べても遜色ない、私はとても好みの映画だった!
最後までモノリスの謎が解き明かされないのとかロマンだなあ〜…

ヘレンミレン、若すぎてわからなかった。ケアデュリアは16年経ったのに全然変わらない!その他フロイド博士も存在感バリバリだったし、地上での米ソ間の関係性と相反する、両クルーの掛け合いも面白かった。