tjZero

2010年のtjZeroのレビュー・感想・評価

2010年(1984年製作の映画)
3.6
あの『~宇宙の旅』の続編。

前作でのプロジェクトの責任者であるフロイド博士(ロイ・シャイダ―)がソ連の宇宙船に同乗し、遭難したディスカバリー号と宇宙飛行士たちの謎を探る…。

全編が、博士が地球に残した妻子に語り掛ける、ヴォイスレターという形でのナレーションで展開。

ナレーションの功罪について考えさせられる。

”功”はやっぱり、わかり易いこと。
前作の謎もスッキリ、起承転結もクッキリ…SFサスペンスとして、過不足なくキッチリとまとまっている。

”罪”は、神秘性や怖さが薄れたこと。
前作はあのわからなさにより、観客が主人公のボーマン飛行士と一体となって、宇宙での心細さや恐怖を体感できた。
本作のようにナレーションが入ると、観客は博士の妻子と同じく”メッセージの受け手”の立場になり、物語から一歩引いたスタンスになる。
客観的に眺められるため、ストーリーはわかり易くなるが主人公との同一感は薄れる。

これはどちらがいい、わるいではなく、あくまでも好みの問題。
ナレーションが入った『ブレードランナー』のオリジナル劇場版が好きな人は本作が、入らないファイナル・カット版が好きな人は『2001年~』派なのかもしれない。

ナレーションが入っても結局よくわからなかったのは、肝心の”モノリス”の謎。
博士のモノローグでも「我々の理解を超えた、宇宙を支配する存在」と評されるのみ。
もしかして、モノリスって”フォース”のことなのか?!

…こんな風に、科学では説明できない不思議なチカラをもっともらしく、かつ魅力的に提示出来るかどうか、がすぐれたSFの条件なんだと思う。
そういう意味では、このシリーズも『スター・ウォーズ』の連作も軽々とハードルをクリアしている。
tjZero

tjZero