イチロヲ

ヘアーのイチロヲのレビュー・感想・評価

ヘアー(1979年製作の映画)
4.0
ベトナム戦争に徴兵された実直な青年が、ニューヨークで知り合ったヒッピーのグループと親交を深めていく。1960年代後半に人気を博したブロードウェイの舞台劇を映像化している、ミュージカル映画。

権力への反骨精神を滾らせて、自由意志のもとに行動している4人組ヒッピーが、歌って踊りながら、出征前の青年の打ち上げ花火を支援する。青年の恋愛模様などを絡めながら、両者の立場を対比させていく作風になっている。

登場人物のボヘミアン・ルックが印象鮮烈であり、「前向きな退廃ムード」というヘンテコな世界観が構築されている。一見すると華やかに舞っているミュージカルなのだが、そのすべてが「怒りのダンス」であるところがキーポイント。

ヒッピー・ムーブメントが終息してからの遅い映画化だが、「風化させないための映画化」という観点では大成功。アメリカ国民の意識変容を求めようとする行為が、複雑怪奇なカオスを生み出してしまう。そんな、世の不条理を体感することができる。
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