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銀嶺の果てのericoのネタバレレビュー・内容・結末

銀嶺の果て(1947年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

銀行強盗犯が、警察の捜査から身を隠すため、雪山へと逃れる。途中出会ったスキー小屋の青年を先導役に、山越えを図るが…
監督の谷口自身も登山を趣味にしていたというだけあって、峻険な雪山の凄味を感じられた。死の危険を犯しての逃亡の過程で、金の価値が、自らの命、そして青年が身をもって提示した人間の尊厳という価値により相対化されていくストーリーはとても面白い。会話の中にユーモアが散りばめられるのは、脚本の黒澤によるところも大きいだろう。
前髪ハラリの耽美路線の三船も魅力的だが、この映画は何よりも志村喬だ。ラストシーンで警察に手錠をかけられた彼は、山小屋の人々を振り返り笑う。旧知の友に会ったかのように屈託のない笑顔で。このシーンをその明るさで照らすとは、と、名優の想像力の泉の奥深さに感嘆したもんである。
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