むさじー

グッドフェローズのむさじーのネタバレレビュー・内容・結末

グッドフェローズ(1990年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

<実録マフィアを基に描く、人間の欲望の冷酷な世界>

マフィアと言っても『ゴッドファーザー』のような統制されたファミリーではなくて、もっとドロドロした欲と裏切りに満ちていて、金と女、恨み、妬み、そして保身が全てといった世界で、実話を基にしているだけに極力美化や偽善は排除されている。
スコセッシは、マフィアの世界を舞台にして人間の欲望を描き、その栄華と衰退の様を描こうとしているようだ。
そこから様々な人間模様が見えてくる。
と同時に、それまで敵だった警察権力に最後は身を守られ、賢く生き残ったマフィアを描いて、その世界の行き場のない末路をも揶揄したものと見ることが出来る。
誰もハッピーエンドを迎えず、後味の悪さを残す。
凄惨なシーンは多いのだが、マフィアの実録ものとしては、コミカルな要素とブラックユーモアに満ちていて、音楽も軽快なロックで盛り上げている。
役者では、主人公ヘンリーはやや温厚な性格で、この手の映画では今一つ精彩を欠くが、相棒二人の醸し出す狂気の様が凄い。
特にトミーは小柄ながら甲高い声と切れやすい凶暴キャラで、強烈に光っていた。
またジミーは、どこかギラついていて、抑えきれない暴力性と、邪魔なら仲間も消す冷酷さで静かに怖いタイプであり、最強のコンビである。
マフィアの冷酷な世界を、人間の欲望と悪意がうごめくエンタメ作品に仕上げたスコセッシの傑作である。
むさじー

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