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黒い罠のtjZeroのレビュー・感想・評価

黒い罠(1958年製作の映画)
4.4
サム・メンデス監督はオーソン・ウェルズの大ファンで、『スペクター』冒頭の驚愕の長回しは、本作へのオマージュみたいですね。

この映画のオープニングも、『スペクター』と同じく度肝を抜きます。
要人の車に仕掛けられた爆弾のタイマーがゼロになるまでの4分弱、まったくカットが変わらずに、延々とキャメラが移動する驚異の映像。監督志望の人はこの場面だけでも保存して毎晩観た方がいい、って位の冴えた演出とキャメラワーク。

本編もすぐれています。アメリカとメキシコの国境にある一触即発の街が舞台。
冒頭の爆破事件をきっかけに、アメリカの腐敗警官とメキシコの麻薬取締官の対立を軸に、地元の暴力組織の介入が絡んだ濃密な物語が、シャープな映像美と緊迫感たっぷりの演出でつづられます。

それにしても、ジャネット・リーって女優さんは本作といい、『サイコ』といい、どうしてあんなにひどい目に会うんでしょう。役柄の上とはいえ、かなり気の毒です。

メンデスとの関連に話を戻すと、『スペクター』でのブロフェルドの描写は、ウェルズ演出の名作『市民ケーン』を思わせる所がありますね…陰影たっぷりのシルエットとか、過去との因縁とか。
いずれにせよ、旧作と新作とのつながり=映画史みたいなものを意識して観ると、よりいっそう深く楽しめる気がします。