ミッキン

青春群像のミッキンのレビュー・感想・評価

青春群像(1953年製作の映画)
3.9
我が人生に於いて名作ナンバーワンは『道』で揺るぎない。こう書くと何度も鑑賞してるように思われるが実は30年前、高校生の時に観たきりである。
フェリーニが好きかと言うとそうでも無い。大学時代、『甘い生活』や『8 1/2』を観たがピンとは来なかった。

で、この作品。微妙である。
スタンリー・キューブリックは生涯ナンバーワンと公言しているがそこまで刺さる内容ではないだろう。

戦後まもないイタリア青年達の葛藤劇。どうしようも無い下衆男、ファウストを軸に比較的常識人のモラルドが狂言回しとして話を進めていく。
微妙な理由は群像劇な割にアルベルトやレオポルドの扱いが中途半端だからか。
フェリーニの弟は完全にモブだし、消化不良な感は否めない。

ただ、遠近感を強調した構図やカーニバルのテンポ良いカット割りは流石フェリーニだと思った。
祭りの混沌、その後のアルベルトの憂い、列車に乗り込み少年に別れを告げるモラルド。これらも名シーンだ。
やっぱりニーノロータ音楽は絶妙なスパイスだということを痛感。

さぁ、そろそろ『道』再評価へのカウントダウンが始まった。果たして今も心の第一位であり続けるだろうか。