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オーメンのtorakoaのレビュー・感想・評価

オーメン(1976年製作の映画)
3.6
多分一桁年齢の頃に観て音楽、特にコーラスの怖さが強烈に印象に残っていて、オカルトホラーの怖さを強く印象づけられた。このシリーズの怖さの肝は、力強くて美しくてカッコよくて恐ろしい音楽にあると思ってる。
リメイク版を再度観て、酷評されてる理由を確認したくなったのと音楽が聴きたくなったのとで久し振りに観てみた。

結構思い出補正あったかも。古い作品なのでしょうがないが音楽の主張が強いのが気になる。音量も。愛のテーマ苦手。ここらへん、いかにもハリウッドて感じ。不協和音とコーラスの恐ろしさはやっぱり秀逸。邪悪な聖歌隊みたいなの思いついた人天才だと思う。オリジナルのほうがいいと思うところはまず雰囲気。コーラス使用曲は勿論、構図とかも雰囲気出してると思う。
監督がホラーと思ったことはない、スリラー映画として撮ったみたいなこと言っててなるほど。

歌の内容(BD特典のトリビアより)
“血は飲み干した
肉は食い尽くした
肉体をよみがえらせよ
サタンよ 万歳”

何故この作品が物凄く恐ろしい作品として刷り込まれてたのか疑問に思い、考えてみた。多分、時代と宗教だと思う。①世紀末が近く、1999年に何かが起こるといった終末思想。2000年問題なんてのもあって漠然とした不安、落ち着かない感じがあった気がする。②黙示録だの預言だの、こういった内容が書かれている聖書、キリスト教に対する恐怖心。布教の一貫か通学路にキリストがどうたらいう脅し文句が貼ってあってそもそも何か怖かった。
そういう前時代的な感覚なしに今観たら、これのどこが?と思う人は少なくないと思う。

以下、リメイク版との違いなど。一切ネタバレが嫌な人は読まないほうがいいと思う。



リメイク版の変更点は概ねなるほどなと思うが、時代の違いもあって話の違和感は否めないし、変更で生じた違和感もある。
オリジナル版ダミアンは無邪気で無自覚、意外と喋ってて結構あどけなくて両親と仲良さげな描写もあり、父親が躊躇するのもわかる。全く医者要らずなのがおかしいと指摘するのが父親のほうで、嫁はダミアンを訝しむ気持ちがありながら否定しようとしてる。この辺は変えないほうがよかったんじゃないかなー。
「羊を見捨てた羊飼いは右腕右目を失わしめよ」「キリストを捨てた」てとこも省かないほうがよかったかな。嫁の死因はどっちもどっちな気もするけどリメイク版のが違和感残る。終盤、車乗ってから派手にしすぎなのも引いたなー。
他は概ねリメイク版のが好きなんだが。オリジナル版のコーラス使用曲は越えられないにしろ、他の音楽はリメイク版のが好みだしダミアンの美貌が悪魔的でいい。感情の欠落した人形のような少年て感じになってるのが残念。
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