滝和也

そして誰もいなくなったの滝和也のレビュー・感想・評価

そして誰もいなくなった(1945年製作の映画)
3.5
ミステリーの古典
名作中の名作。
絶海の孤島に集めれた
10名の客人。童謡に
見立てられ、また一人
また一人と消されていく…

「そして誰もいなくなった」

アガサ・クリスティの代表作であるこの作品。第二次世界大戦の終戦時に作られたとは…まず驚き。初期トーキーの傑作「パリの屋根の下」のフランスの名匠ルネ・クレールが映画化してます。改めて見てみると如何に後のミステリー作品に影響を与えたかがわかりますね〜。

ブロットはトップに書いた内容通り、見知らぬ10名が謎の人物により集められた孤島の屋敷内で殺されていく…。誰が犯人なのかと言うフーダニットであり、主人公の探偵役がおらず、全員容疑者と言う筋立てがまた面白い。

小さな島の屋敷に絞った限定空間を利用しながら、インディアンの童謡に見立てた殺害方法や殺害と同時に消えていく10人分のインディアン人形と見事なサスペンス要素を持ち、スピーディーに展開されるストーリーは小気味よく、見やすい作品に仕上がっています。

ただ…ルネ・クレールの作品って何処か陽性なんですよね。ユーモアがあって。それも見やすさをあげているのですが、反面、悲壮感や恐怖感、余韻があまりないんです。後…特に余韻がないのがラスト。あ、何かサラッと終わっちゃったぞ…という感じになってるんですよね。ある程度古典ゆえ予測していたとは言え…。

皆さんのレビューを見ましたら、原作改編らしい、しかも原作者アガサ本人による(*_*)。時代性ですかね…戦後すぐですし…こちらのラストを選んだのは…。

それはそれでまぁありかなとは思いましたし、ミステリーものの原型を見ているようで、楽しかったし。古典ミステリーの世界、オススメします。
滝和也

滝和也