踊る猫

リトル・ミス・サンシャインの踊る猫のレビュー・感想・評価

3.1
苦笑いするしかない映画だ。よく言えばそれだけビターテイストというか辛辣な映画ということになる。悪く言えばコクがない……というか深みに欠ける。流石に時代背景を鑑みてもこの同性愛の描き方はマズいだろうとも思うし(「ホモ」という前時代的な差別用語が痛々しい)、プルーストに言及したくだりも一体なにを言いたいんだか今ひとつ伝わっていない感がある。あんなに簡単に色弱が見つかるか、というようなツッコミどころも決して少なくはない。逆に言えば、そういうツッコミどころや脇の甘さを許容できる観客こそこの映画を堪能できるのだろうと思う。私はダメだった。基本的なメッセージである「負け組」とはなにかについても、オンボロのバスを走らせてミスコンに向かうという無茶だけで勝負するのではなくもうひと捻り欲しいとも思った。この映画の中ではニーチェに心酔する兄も飛行士目指して「負け組」からの脱却を目指しているはずだし、娘のミスコンへの執念を燃やす動機がもう少し丁寧に描かれていてもよかったはず。まあ、そんなガバガバの設定を許容して観るならこの映画はなるほど人情落語のような味はある。
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