唯

ベロニカ・フォスのあこがれの唯のレビュー・感想・評価

3.5
ヴェロニカの、人からどう見られるかを常に気にしてしまう息苦しさ。強迫性障害なのでは?
本当はやりたくて仕方がないのに興味がないと言ったり、感情と身体と言葉がぐちゃぐちゃで自分自身を統率できていない。
内心怯えまくりなのに外面としては女優のヴェロニカフォスとして振る舞うことは、余計に自分を騙すことになっている。

「抵抗しない男を誘惑するのが趣味」と話すヴェロニカは、夫からの愛情のみでは自分を信じられず、多くの男から求められることによって自分を承認することができる(しかも、既に相手のいる男を寝取ったり)。
そして男も何故か乗っかっちゃう。
メンヘラばりばりの姿を相手にだけには見せて、そうして心配させて自分の必要性を感じさせて依存させて。
そんな献身ぶりを見ることで承認欲求を満たしているのではないか。
男の方は、手のかかる女だと思いながらも俺がいなければこいつはダメなんだという優越感に浸ることで、より依存を深めて行く。

ロベルトは、取材の一環としてヴェロニカと体を重ねるのか心から惹かれているのか掴みかねるところではある。

当時の精神科の治療も恐ろしいものだよな。
確立された理論なんてないに等しいのだろうね。
切実な患者の訴えも平気で笑い飛ばしちゃうし。
というか、女医のカッツ医師はね、サイコパスなのよ。
支配欲が強くてヴェロニカをコントロールしようとする。
監禁同然の異常な環境に置くことでヴェロニカを自分に依存させる。
恐怖を植え付けて思考能力や判断力を奪い、一人では生きられない状態にしてしまう。

カッツ医師が誰よりも怖い。
この人が主人公の映画も見たいくらい。
彼女の執着の対象は金だけなのか?と気になってしまう。。
唯