あーさん

横道世之介のあーさんのレビュー・感想・評価

横道世之介(2013年製作の映画)
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再レビュー。

慌ただしい昨年末にふと点けたBS放送。
世之介!?横道世之介?大好きなんだ〜♪
観たい!
忙しい、、けど観る!笑
TVの前に座り込む私。。


このバブル手前の80年代後半の時代背景、私にとってはドンピシャなのだ。
長崎から東京へ大学進学で上京して来た、飄々とマイペースな横道世之介(高良健吾)。
実際、周りからちょっと浮いてる⁉︎
でも、全くそんなこと気にしない。
人懐っこくて真っ直ぐで、肝心なとこ鈍感で。
このキャラが最高なのだ!

吉高由里子がまた、天然なお嬢様祥子ちゃんにぴったり。かわいい!
周りの友人達(池松壮亮、朝倉あき、綾野剛、柄本佑etc.)のキャラ立ち、関係性もまたいい感じで、こんな人いるなぁ。。って思える。

ずっとほのぼのした雰囲気かと思いきや、大学中退を余儀なくされたり、性的マイノリティを隠していたり、世之介の周りはそれぞれ悩みを抱えている。
でも、そんな友人達に一切偏見を持たず、フラットに接する世之介。
そのさりげなさが、じんわりくる。。

引っ越した部屋で先々のことを思い男泣きをし出す池松壮亮には、胸が締め付けられたなぁ…。

隣人の江口のりこ、バイプレーヤーとして良い味出してる!
個人的には、同じく東京の大学4年生で世之介の従兄の黒田大輔がツボだった!(遠い目でタバコの煙を燻らせながら哲学を語ったかと思えば、ねるとんに出るとか…笑)
長崎にいる父親(きたろう)と母親(余貴美子)もナイスなキャスト。

前に観た時は、その無邪気さにハマって、面白い所だけしか見えてなかった。
ほっこり、癒される、、そんな風にこの作品を観ていたんだ。。





ここからネタバレ***




再鑑賞の後に、知ったことがある。

作品の中に時代を映し込むと言えば、"ぐるりのこと"なんかが思い出されるけど、こちらは2001年の新大久保駅乗客転落事故が
下敷きになっているということ。

今作は原作者が吉田修一、監督が沖田修一。
名前は似ているけれど、毛色は全然違う。

吉田修一と言えば、"悪人" " パレード " "さよなら渓谷" "怒り"などが映画化されているが、ちょっとシリアスで鋭くえぐってくるイメージ(というのも全て未見)。
対して沖田修一監督は、"南極料理人" "キツツキと雨" "滝を見にいく" "モヒカン、故郷に帰る"などどこかほっこり路線の人。私は断然、こちらが好み!

で、この化学反応はどうか?というと、前半の世之介ほのぼのパートの印象が強く、事故のことが下敷きにありつつもシリアスになり過ぎず、何とも言えない後味が観た後もずっと続くような、そんな素敵な作品になっていると思う。

ふとしたことからカメラに目覚め、カメラマンになった世之介。
長崎のボートピープルに会ったことをきっかけに、なんちゃってお嬢様を卒業、自分の道を歩き出した祥子。
世之介がいなかったら、彼女の今はない。

人って一人で生きてるんじゃない。
関わり合って、生きてるんだって思う。


切ない思いとともに、やっぱり、世之介ー大好きーって叫びたくなる。


私にとって、とってもパーソナルな、ビター&スイートが入り混じった、忘れがたい作品なのだった。。


♪♪ アジカンの"今を生きて"がエンディングで心に沁みる〜
彼らの歌は、大学生が主人公の映画の主題歌にホント合う。
キャストとアジカン・メンバーが大学生を演じてるMVがまたよい!!
あーさん

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