ひろぽん

ストロベリーショートケイクスのひろぽんのレビュー・感想・評価

1.2
フリーターの里子、デリヘル嬢の秋代、OLのちひろ、イラストレーターの塔子の4人の女性の些細な日常を描いた物語。


2年前に信じられないほど酷いフラれかたをしてしまい、後にも先にもこれ以上酷いことはないだろうとデリヘルの受付として働くフリーターの里子。

里子の職場に勤務しているデリヘル嬢の秋代。墓地の近くに家を借り、部屋には棺がありその中で寝泊まりしているという変人。学生時代の同期である菊池に長年叶わぬ恋心を抱いている一途な面もある。

会社にOLとして働いているちひろはお茶汲みやコピーなどの雑用ばかりしている。女性らしく可愛らしい見た目だが、彼氏は何でも欲しいものは買い与えてくれる“神様”のような存在だと考えている。周囲からはよく見られたいと言われる始末。

そんなちひろと同居しているイラストレーターの塔子。ちひろとは表向きには仲良さそうにしているが、お互いのことを良く思っていない。ある日、「どこにもいない自分だけの神様」というテーマで絵を描いて欲しいと依頼を受けるが、実力はあるのにスランプ気味で拒食症となり嘔吐を繰り返す日々。


そんな4人の女性の繊細な女心が描かれる。

物理的な距離は近いのに心の距離は遠かったり、何気ない石を祀り神頼みしてみたり、八方美人だったり、誰かに認められたり愛されたいという願望は何となく分かる気がする。

痛々しくて傷つきながらも愛されたくて生き続ける彼女たちをみているのが本当に切なかった。所々あるあるだなーとか思うこともあるけど、正直男の自分からすると理解し難い一面がある。男性が観るのと女性が観るのとでは評価や意見が全く別のものになるだろうし、共感や理解の差も大きく違うと思う。

透明の冷蔵ショーケースからお酒を取り出し、ベランダのブランコに揺られ夜景を一望しながら、消えゆく東京タワーの明かりに“おやすみ”を言う里子のシーンがとても素敵だった。

HOPEのタバコが売り切れで自販機に向かって“希望は売り切れですか”という名シーン。

ムカつく店長の死をお祈りするシーンとそれが叶うシーンは笑っちゃった。里子が本当に良いキャラしてる。

浜辺での4人が巡り会いそうなラストシーンに明るい未来への希望を感じてとても良かった。ショートケーキにのっているイチゴのように甘酸っぱい物語だった。2回目の鑑賞だが、この作品との相性が良くないみたい。
生々しい嘔吐や無駄に多いセックスシーンが苦手だった。

原作者ご本人が塔子役として登場してるのが凄い。普通に綺麗な人でびっくりした。
ひろぽん

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