滝和也

ガンヒルの決斗の滝和也のレビュー・感想・評価

ガンヒルの決斗(1959年製作の映画)
3.9
家族と友情の間。

孤高の闘いの中
浮き上がる
鬼気迫るダグラスの
勇姿。

カーク・ダグラス&
アンソニー・クイン共演

「ガンヒルの決斗」

荒野の七人でお馴染みの西部劇の雄である、ジョン・スタージェス監督の決闘三部作の最後を飾る傑作。OK牧場の決闘のチームが再結集。ニ大スターが共演し、家族と友情、法の裁きの間で戦わざる得なくなった二人の男を描ききった骨太なストーリーです。

林の中を行く一台の馬車。母と子が乗る馬車を二人のカウボーイが襲い、母は陵辱された上に殺された。その女性は先住民だったが、近くの街の保安官マットの妻だった。息子が二人の馬を奪い逃げた事から、鞍を見たマットはそれが親友クレイグのモノと気づく。マットは彼のいるガンヒルに向かうが…。

親友の息子に妻を殺された保安官にカーク・ダグラス。殺した息子の父親であり、親友にアンソニー・クイン。復讐と法の裁きのため、ダグラスが鬼気迫る表情で戦いを挑みます。クイン演じるクレイグは街の支配者であり、ダグラスに手を貸すものはなく、孤高の闘いになるんですね。

オープニングから全編緊張感が張り詰め、ジリジリとしたひりつく展開で目を離せなくなります。二人は確かに友情で繋がっていて、お互い戦いたくはない、だが、復讐心は止められず、子を思う親心も捨てられない。支配者であり、父親のクインの演技、存在感が光りますね。

ダグラスがバカ息子を捕まえ、ホテルに籠城する展開から更に緊張感が増し、ラストの闘いが生きてくる。ガンヒルからの最終列車の時間が迫り、燃え落ちるホテルの前に立つダグラスの鬼気迫る表情は圧巻ですし、ラストのあの台詞は二人の父親が友情で繋がっている証であり、見事でした。

またクインの恋人役でダグラスと二人の間に立つ女性がいるのですが、その使い方も巧み。より二人のキャラクターを際立たせ、ラストへ向う橋渡しをしています。

90分程度の短尺の作品ながら、緊張感を切らさず、これだけの事を見事に組み込み、ラストまで一気に持っていく(劇中内でもガンヒルの街にいるのは半日です)のは正にジョン・スタージェスのエンターテインメント職人ぶりが分かりますね。荒野の七人ほどの大作では無いものの、締まった見事な傑作だと思います(^^)
滝和也

滝和也