煮え滾る魂の慟哭
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の作品は、表面上はとても静かで詩的な世界だ。
が、キャラクターの内面は燃え上がる炎のように激しく、暴力的なまでの感情の噴出が観客の心をゆさぶる。
ドゥニ・ヴィルヌーヴは、過去と現在を巧みに織り交ぜながら、1人の女性が夫を奪われ、内戦に子供が巻き込まれ、そして人間の尊厳を奪われながら、それでも懸命に足掻く姿を浮かび上がらせる。
終わらない復讐の連鎖と、子供たちのへの惜しみない愛情。この二つが文字通り「表裏一体」となって訪れる結末は、とても言葉では表現できない。