ほぼ完璧な実写化
野田サトル原作による人気マンガの実写映画であるが、何しろ「これ実写化できるの?」という不安はかなりあったし、ほとんど過労死寸前でマンガ実写化作品に出続ける山崎賢人の主演ということで、期待値を上げすぎないほうがいいと思いながら観た。
結論からいえば『るろうに剣心』『キングダム』の系譜に続くマンガ実写化のほぼ理想系と言ってよいと思う。そしてその2作よりもマンガのテイストをきちんと残していて満足度は非常に高い。
黒岩勉の脚本は原作の序盤を2時間でコンパクトに再構成しており、原作の必要な要素をきちんと拾い上げている。
冒頭の戦闘シーンはじめ画面を広く使った構図が多く、リッチな映像を惜しみなく見せてくれるのは非常に良い。
クマやオオカミなどCGとは思えぬ動物の迫力も素晴らしく、真冬の過酷な自然と馴染んでおり違和感がなかった。
何より原作の持つギャグテイストをきちんと残しているのが良かった。マンガのギャグを実写でやると薄寒くなることがほとんどだが、本作はそうした罠に陥らずちゃんとギャグが面白い。
座長の山崎賢人は杉本に見えたし、アシリパさんを演じた山田杏奈は変顔の再現ふくめて完璧なキャスティングだと思う。
土方歳三は田中泯が適役だと私は今でも思っているが、舘ひろしの異様なカッコ良さはそれはそれで素晴らしい。脳汁を吹き出す玉木宏もビジュアルだけでなく仕草をマンガに寄せていて面白かった。
文句のつけようのない仕上がりだが、これで続編がないというのはなんとも寂しい限りなのでぜひあと5本くらいは同じキャスト、スタッフでやってほしい。