のん

ミステリと言う勿れののんのレビュー・感想・評価

ミステリと言う勿れ(2023年製作の映画)
4.5
呪縛からの解放


ドラマ『ミステリと言う勿れ』は天パで空気の読めない大学生、久能整が空気が読めない故に、本質を突いた台詞が他者を救う展開が好きだった。

ドラマの劇場版となる本作は、広島を舞台にした本格ミステリとしての側面だけでなく、各キャラクターが抱える「呪縛」からの解放を描いていて、とても丁寧な作品だと感じた。


フジテレビのドラマ映画を毛嫌いしている人も多いが、私は日テレやTBSのドラマ映画と比較すれば、映像や美術の面で大きくリードしていると思う。本作も映画らしい画作りで最後まで見応えがある。

遺産相続を巡る骨肉の争いが二転三転、予想もつかない方向へ転がり続け、最後の結末には恐怖すら感じる。

ドラマ版でもそうだったが、真犯人は他者を徹底的に傷つけまくる存在であり、だからこそ菅田将暉演じる久能くんの優しさとの強烈な対比が生まれている。

個人的に素晴らしいなと感じたのは、それぞれのキャラクターが抱える「呪縛」を主人公の言葉が解放する展開。

女性らしさとは何か、子どものトラウマとは何か。言葉は時に呪いであり時に人を救う魔法にもなる。

個人的には年間ベスト級の傑作。
のん

のん