あきらむ

ランブルフィッシュのあきらむのレビュー・感想・評価

ランブルフィッシュ(1983年製作の映画)
5.0
世界の見方が変わることは、世間からキチ×イと指さされる第一歩だ。若者は大人と見ている世界が全く違う。だから大人は若者を狂った生き物と思う。逆もまた然りだというのに。
最初は弟の立場から兄を、後半は兄の立場から弟を想った。ふたりとも不器用で、特に兄の方は社会と折り合いがつけられず諦念の境地に至っている。
水槽に閉じ込められ唯一カラーで表現されるベタ(闘魚)は兄の象徴だ。閉じ込められて行き場を失う哀れな存在。兄だけでなく全ての若者の象徴とも言えるかもしれない。自分を重ねることができる唯一のものだからこそカラーに見える。
五歳までは社会に支配されていたがそこから抜け出てしまった兄は世界がぼんやりとしかみえない。だから雰囲気も異様なのだ。
目標を失った弟は父側か母側かどちらに転んだのか。