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新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君にのHKのレビュー・感想・評価

4.2
新世紀エヴァンゲリオン旧劇場版。シト新生編で終わるところが、途中で終わってしまい、この映画で真の意味での完結となる。監督は庵野秀明、鶴巻和哉。

セカイ系というものが当時流行っていたように、シンジ君のような思春期真っ盛りの男の子が本当に神となってしまえば世界をどのようにしてしまうのか。他者との交わり。受け入れが必要なのだろうかということなのかもしれない。

ATフィールドの意味が劇中で判明する。ただのバリアではなくそれは自我と他者との境界線でもある。自分の領域などというものがあるから、人間は不完全であり、その線を越えれば一つとなり、世界は一つになるというのだろう。そうなった世界はとんでもないものに包まれる。

個人的には後半のシンジ君の精神世界の場面は完全にドラッグ描写であり、そこはもう庵野さんの闇をしっかりと描いていてかなり好きです。結局のところ構ってもらいたいだけなんですよね。責任とか負いたくないし、そこから逃げることを選んだ。上映当時はエヴァファンを落胆させたというけど、これこそ普遍的な真の終わり方なのではないでしょうか。お父さんのゲンドウに最後まで拒絶の姿勢を崩さなかったですね。良いと思いますよ。

自分だって、世界滅亡のことだとか、サードインパクトなんてわけわからないことに対して、真正面から向き合うことなんてできるわけないですからね。最終的に向き合えてアスカと一緒の世界にして良かったんじゃないですか。独善的とも言えなくてはないけど。

個人的にはネルフの要員がLCLになっていくシーン、そして地球全体がLCLになるシーンはトラウマものですね。あそこもドラッグ描写でしたね。本当にアニメのカルト映画として歴史に残る大作であると思いますわ。

劇中流れる「Komm, süsser Tod 甘き死よ、来たれ」はやはり名曲であると再確認できましたね。この歌詞を書いた庵野さんもかなり狂ってたんでしょうね。
HK

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