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汚れた血のHKのレビュー・感想・評価

汚れた血(1986年製作の映画)
2.5
「ボーイミーツガール」「ポーラX」などのレオス・カラックス監督による近未来を舞台にしたノワールラブストーリー。

愛の無いセックスで発症する病気STBOが蔓延するパリ。主人公アレックスは手先が器用でマジックを生業にする。ある時、彼の父親が電車に飛び込み死亡する。これにより彼が負っていた借金を仲間のマルクが肩代わりすることになった。アメリカ女に借金を返すため、息子であるアレックスを仲間に加えSTBOを直すワクチンを開発会社から盗み出すことを企てる。初めは躊躇したアレックスだが、リースとの関係に嫌気がさし彼女と別れ作戦に加担する。そこで彼は仲間の一人である年上の女アンナに恋をする…

所々の独特で斬新なカット割り、アレックスとアンナのアップの映像を基本とした顔を強調した撮影方法はどこかゴダールからのオマージュなのか。そこに趣の良さは感じられた。

しかし、映像的な驚きは凄くても、ストーリー展開があまりにも平凡すぎたせいか、まだ若い私にはちょっと退屈に感じました。物語の面白い部分になりそうなSTBOの設定などは、車内でのマルクの解説で全部台詞で片づけてしまっているのがなんか物足りない。

そもそもこんな近未来のウィルスが蔓延しているという世界観にする必要性が感じられなかった。全体的にもアレックスとアンナの恋模様に執着していたし、だったら普通に大金を盗むみたいなことでも良かったのでは。

それに、フランス語って、元々詩的な会話に優れた言語であるから致し方ない部分もあるかもしれないが、どうも冗長でこまっしゃくれたアレックスの口説き描写は癪に障る。言い方が回りくどすぎるんだよ。そこはもっとストレートに言えって言いたくなるシーンが多々あった。そういうのが苦手な自分にとってはフランスのラブストーリーは合わないのかもしれぬ。

だが、カット割りのやり方などはやはり素晴らしいと言いますか、カードのシャッフルの描写、所々無音になるシーンなども絵的な拘りがあった所は良かったです。ただ自分にはちょっと合わなかったかな。

いずれにせよ、作品を見れて良かったと思っています。高評価が多い中自分にはちょっと消化不良というか、あまり魅了されませんでした。
HK

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